ハイテク膜を用いて、より安全でおいしい水道水を造る
 みなさんが毎日飲んでいる水道水は、浄水場で凝集・沈殿・ろ過・消毒して造られていますが、これ
を膜(メンブレン)を使った方法に変える研究です。精密・迅速に安全でおいしい水を造ることができ
、新技術として注目されています。

 0.1〜0.01μm以上の粒子を除去できる膜を使えば、河川水中の微細な濁りや細菌などは完全に処理さ
れてしまいます。この種のやや粗い膜は、家庭用の浄水器に使われているほか、実際の浄水場にも徐々
に導入され始めています。

 さらに、近年、ビスフェノールAなどの環境ホルモンをはじめとして、極微量でも有害な水中の化学
物質の影響が心配されています。これを分子量数百という極小レベルまで除去するナノろ過膜を使って
水処理することも研究しています。μg/L(ppb)という極低濃度レベルの物質を対象とするため、専用
の環境ホルモン分析装置で微量分析して評価しています。
 なお、国のプロジェクトである環境影響低減化浄水技術開発研究(e-Waterプロジェクト)にも参加
し、環境にやさしい膜ろ過処理技術の研究開発も目指しています。

膜ろ過実験装置(UF膜) ナノろ過膜


環境に充分配慮して、東北新幹線八甲田トンネルの工事を進める
  現在、八戸・青森間で、完成時に世界最長(26.5km)の陸上トンネルになる八甲田トンネルを掘削中
です。工事の進捗率はすでに約70%であり、工事は順調に進んでいます。
 トンネルは、環境が極めて良好な八甲田山系のみちのく有料道路にほぼ沿って掘られています。工事
排水の処理、掘削ズリの処分など、環境保全に配慮した工事をどのように行っていくか研究を行い、八
甲田トンネル技術委員会(所管:鉄道運輸機構)などに提言を行っています。
 現在の八甲田チームでは、野外に掘削ずりつめたコンテナを設置し、そこから採取できる雨水と溶出
水のpH 測定、有害な金属物資が含まれていないかを調べています。また、最近では北海道大学と共同
して実験のデータを分析しています。
 

八甲田トンネル工事現場(左側が本坑) 大学構内にある野外溶出試験の現場


青森・岩手県境の廃棄物不法投棄問題の解決に取り組む
 毎日のようにテレビや新聞などに取り上げられている廃棄物不法投棄問題。青森・岩手県境で国内最
大規模の廃棄物不法投棄が環境汚染の発生や景観の破壊、地域住民の不安など様々な問題が大きな社会
問題になっています。

 八戸工業大学では文部科学省のハイテク・リサーチ・センター整備事業に採択され大学全体でこの問題
に取り組んでいます。
 そこで私達の研究室では、常時水質状況を測定し、研究室にデータを転送できる最先端技術を駆使し
、不法投棄地域における土壌と地下水の汚染拡散予測と防止について研究しています。

汚染されたため池 汚染水が悪臭を放ち表面にしみでている


<その他、調査研究等の実績>

 ・八戸地域の地下水・地盤沈下の調査

 ・青森湾と青森市内河川の汚濁調査

 ・青森市横内川水道水源の保護